スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

電卓の力

 ほかの士業の人との話で良く聞かれるのが、

 「不動産鑑定には特別なパソコンソフトが必要なのですか?」

 と言うこと。聞けば例えば、司法書士の人はとても高いソフトを使っていたり、弁護士の人は判例データベースにお金を払っていたりと、結構ソフトにお金をかけている様子です。

 鑑定士はと言えば、チームでやるのが前提の地価公示や地価調査は専門のソフトはあるけれど、一般鑑定では評価ソフトはあまり使われていない様子です。たいていはエクセルを使って、自分で評価フォームを作ってしまうとか、計算部分のみエクセルで、後はワードを使う人が多いと思います。便利(であろう)専門の鑑定評価ソフトもあるのですが、使っている人をあまり知りません。

 最近は普通の更地とか30坪程度の戸建住宅地とか、ごくごく普通の不動産は半ば自動的にできてしまうシステムが作られているようです。ですから、わざわざ不動産鑑定士に依頼するのはそのシステムでは対応できない変化球的な不動産が多いのではないでしょうか。 

 自分が受ける仕事は(定型的な鑑定評価以外は、一筋縄ではいかない仕事ばかりです。作り置きの定型フォームでは評価書はできません。必ず、どこか手直しが必要です。そのため、自分の場合は仕事を受けたら評価書のフォームづくりから始めます。基本となるワードファイルを元に、依頼された不動産に応じた書式を作ります。また、自作のエクセルのパーツをもとに、評価事にエクセルでの評価システムをくみ上げます。自分でも効率が悪いと思いつつも、案件事にオーダーメードで書式を作っている始末です。

 鑑定業に入ったすぐの頃、何にでも使えるエクセルフォームの設計に取り組んだこともありますが、結局挫折しました。場合分けをしていくと、4~50くらいのフォームを作らなければならないと気づいたからです。それならば、基本フォームを手直ししつつ、案件事にシステムを組んだ方が早いかなと思いました。

 今の自分の評価のやり方は、

  1. ワードで計算式以外を打ち込む
  2. エクセルで評価システムを作る
  3. エクセルの表をワードに貼り込む

 と言ったような形を取っています。それで最後の儀式(?)として電卓を取り出します。一旦できあがった評価書の計算式部分を頭から電卓でチェックします。

 「エクセルで計算しているからには計算ミスはない」と思うのが素人の浅はか。電卓を叩けば、PC側ではないいろいろな理由で計算ミス・フォームの設計ミスが見つかっていきます。また、電卓で頭から計算していくことで、評価書の全体像が改めて見えてきます。前と後ろで違う考え方をしているとか、手法毎の判断がずれているとか、丸めのミスとか。

 結局、電卓を叩いて、修正して、更に電卓を叩いてというステップを3~5度ほど繰り返します。評価のためのパーツをくみ上げて評価フォームを作る以上、パーツ間の整合性を取るのは、頭から人力で電卓を叩くしかありません。エクセルの計算を電卓で検算するのはばかばかしいとはお思いかも知れませんが、どうしても欠かすことのできない大事な儀式です。

 ちなみに一般の鑑定評価では、荒く評価書を仕上げてから、全体のチェック・電卓叩いて数字チェック・言い回しのチェック・レイアウトのチェックなどでほぼ2日ほどかけます。評価の前提から過程、評価手法などのチェックですから、評価した本人(担当鑑定士)しかチェックできないことが多くあります。

 言い訳かも知れませんが、鑑定評価の報酬が高くなるのは、それだけ時間をかけている証なのです。

スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。